いきなりですが、私は京極夏彦の本が好きで、京極堂(百鬼夜行)シリーズはすべて読んでいます。
登場人物がみんな個性があり、全体的な怪しい雰囲気に魅了されます。
特に古本屋を営み、時には憑きもの落としとして活躍する京極堂こと、中善寺明彦が物語終盤に古文書などの文献から物語の核心を解説するところがおすすめです。
ところで先日、この京極堂シリーズの新刊「鵼の碑」が出ました!
題名は『邪魅の雫』の単行本の帯にすでに予告されてあったのですが、17年ぶりの新刊なのです!
その間、私は「いよいよ出たか!」と間違えて『邪魅の雫』を2回買ってしまいました…笑
こんなわけで私は古い記録に触れていると古文書を読む京極堂になったみたいで、わくわくするわけです。
そして土地家屋調査士をしていると、古い記録にあたることはよくあるのです!
そうした場面のひとつに、相続のときによく出てくるのですが、「なんだか父が子供のころ住んでいたらしい放置された、古い建物や見たこともない土地があって、どうしたらいいのかわからない」といった相談があります。
こんなときはもうわくわくして現地に行ったりして、調査を開始します。
まずは登記簿をあたるのですが、場合によってはかなり古い時代まで遡ることもあります。とりあえず土地台帳・家屋台帳制度ができた明治期・大正期までは記録は遡れます。現代の登記簿と違って、筆で書いてあって味わい深いです。
そういうものを参考に現状の家と比較して、登記してから今までの間に何があったのか、調べていきます。
私はこの作業がとても好きで、古地図、戸籍など他の資料も同時に調べるのですが、一つの資料から別の資料の存在がわかることもあり、何度も現地に行ったりすることもあります。
また必要に応じて現地の隣人や長老に聞き込みのようなこともします。
そうするうちに、その家の家族関係やドラマが垣間見えてくるのです。
そして、そこでわかったことをご遺族の方に説明し、相続手続きをしていくのは、まさに京極堂になった気分です。登記簿が無いような古い物件の場合は、雲をつかむような所から始まる場合もあり、調査だけでも大変なので、私はとてもやりがいを感じます。
相続登記というと、今年の4月からいよいよ義務化されます。
先代が登記手続きをしていなかったケースでは、時間や手間がかかるので自分でやるのは大変かもしれませんが、歴史が好きな方やわたくしと同じく京極堂が好きな方は、興味をもってできるのではないでしょうか?
さあ私と一緒に相続登記をやりましょう!