不動産登記が無くても困らない?

登記とは、不動産の権利関係を公示する制度だ。この登記制度は、多少の違いはありますがヨーロッパ諸国、アメリカにも存在します。
わが国においては、民法177条に登記について触れられています。財産を守るために重要な登記制度ですが、無いとどうなるのでしょうか?登記制度の必要性について簡単に触れてみましょう。

【民法第177条】<g> 不動産に関する物件の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

わからない?建物の所有者

目の前に建物があるとして、これは誰のものでしょうか?表札があれば、その人の家だと考えるでしょう。しかし、そうとも言い切れません。例えば、借家かも知れないからです。また、両親の家に弟が住んでいて、将来は兄のものになるという複雑な事情の家かも知れません。
こう考えると、当事者以外の第3者が外見だけで所有者を正確に特定することは困難だと気づきます。表札を信じて取引をしたら、所有者が違っていた、ということになりかねません。
反対に、自分の家なのに「本当にあなたのお家なの?」と疑われたら困ってしまうでしょう。
そこで「登記」なのです。自分のもの、と登記しておけば、所有者がはっきりし、第3者に対し「自分のもの」と主張(対抗)することができるのです。

どこが自分の土地なのか?

「住所があるんだから、そこが自分の土地に決まってるじゃないか。地図にだってちゃんと区切りがあるじゃないか。一体なにを言っているのか?」と思われるかも知れません。
しかし考えてみると、地面には、地図のような区切り線は引かれていません。少しずつ少しづつ山が削れて地形が変わってしまっても区切り線が無いからよくわからないということもあるのです。「あなたの土地は、具体的にどこを指すのか?」と言われてしまったら、どうすればいいのでしょうか?

そこで、やっぱり「登記」なのです。

自分の土地がどこにあるのかを「地積測量図」とともに登記しておけば特定(復元)しやすくなります。さらに「世界測地系」の座標値で登記していれば、世界中の地面から目的の土地を特定(復元)可能なのです。

よく考察するということは、よく観察すること

以上のように、建物も土地も登記をしないと案外、不安定な状態なのです。
ただし、登記して公示する以上、間違った登記はできません。事実を慎重に考察する必要があるのです。場合によっては、歴史的な調査も必要で、古文書の類を見ることもあります。不動産の沿革を注意深く考察する必要があるのです。

その専門家が土地家屋調査士です。

私は調査士として、よく考察するということは、よく観察することだと考えています。

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