表示に関する登記
「不動産登記」は大きく分けて二つの種類があり、一つは「表示に関する登記」でもう一つは「権利に関する登記」です。
「表示(表題)に関する登記」は不動産(土地・建物)の物理的状況、例えば土地であれば、どこに、どれくらいの広さで、どのように利用されている土地があるのかを明確にするための登記であり、「土地家屋調査士」がこれを扱います。
「権利に関する登記」は不動産(土地・建物)に関する各種権利、例えば、所有権、抵当権、地上権などの保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅を公示するための登記です。同じ登記ですが、こちらは「司法書士」がこれを扱います。
土地に関する登記の種類
分筆登記
分筆登記は、登記された1つの土地を2つ以上に分割する登記のことを言います。
相続や贈与等で土地を分けたいときや、土地の一部を売却したいとき、相続に備えて、あらかじめ親族で土地を分筆しておきたいときなど、土地を分割して有効に使いたい際に行います。
土地を分筆する場合には、前提として境界確定測量を併せて行うことがほとんどです。境界確定測量をして新たにできた境界点にプラスチック杭やコンクリート杭、金属標などの永久的な境界標の設置をします。
- 相続した土地を相続人で分けたい
- 土地の一部を売却したいとき
- 相続に備えて、あらかじめ親族で土地を分筆しておきたい方
合筆登記
合筆登記は、登記された2つ以上の土地を1つにまとめる登記です。分筆登記の逆の登記です。
不要に地番が分かれているので整理したい場合や、複数の隣接しあう土地を相続して相続人間で分けたい場合などに分筆登記を前提に合筆登記を行います。
ただし、どのような土地でも合筆登記ができるわけではなく、所在が同じ、合筆する土地同士が隣接、地目が同じ、などいくつかの要件があり、注意が必要となります。
- 遺産分割による分筆登記を前提に合筆したい
- 土地がたくさんあってまとまりがないため、1つの土地にまとめたい方
地目変更登記
地目変更登記は、登記記録に記載されている地目から別の用途に変わった時にする登記をいいます。土地の地目はあらかじめ登記記録に記載されていますが、用途を変更したときに地目変更登記の申請を怠ると、登記の地目と現況の地目が相違した状態となってしまいます。
登記に記載する地目は不動産登記規則で定められており、土地の主な利用目的に応じて次の23種類に分類されています。
地目の種類の田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地は変更した日から1ヶ月以内に行わないといけない罰則規定のある登記です。
また、田、畑といった農地を農地以外の用途に変更する場合は、農地法の届出や申請を怠ると、地目変更の登記ができませんので注意が必要です。まずは、農業委員会に対して農地法の届出又は都道府県に対して農地法の許可申請が必要になります。
- 登記の地目と現況の地目が一致していない
- 土地の利用目的を変更された方 (例 雑種地⇒宅地など)
地積更正登記
地積更正登記は登記された土地の面積が実際の面積と異なる場合に、実測面積に合致させる登記です。
登記記録(登記簿)の登記された地積が間違っている場合に、正しい地積に改めるために行います。
土地の登記は古くは明治時代から色々な経緯があり、古い時代のものですと測量方法に問題があったり、測量に使用した機器や道具の精度が悪く、実測面積と登記記録の面積に差が生じているケースが多く見受けられます。実測面積が少ない多いに係わらず行うことが可能です。
固定資産税課税や都市計画税は原則、登記面積により算出され、課税されますので、登記面積により実測面積の方が少ない土地は地積更正登記を行うことにより税額が減少するメリットもあります。
また地積更正登記を行うと登記記録の地積が正しい地積に改められるほか、地積測量図が法務局に備え付けられることになり、法務局の証明が付いた全部事項や地積測量図の交付を受ける事ができ、土地の売買等にも役立ちます。
法務局へ地積更正登記を申請するには、その前提として隣接土地所有者の境界立会確認を得て境界確定測量を行い、境界点に境界標を設置する必要があります。
- 登記簿の面積を正しくしたい
- 実際に測量したところ、登記簿面積と実測面積が異なる方
土地表題登記
土地表題登記とはまだ登記されていない土地について初めて登記することをいいます。不動産登記簿の表題部と呼ばれる不動産の現状を表示する欄に、所在、地番、地目、地積が記載されます。土地表題登記が必要となるのは、例えば、里道(赤道)や水路(青道)の払い下げを受けた場合や公有水面を埋め立てた場合などです。
- 土地を払い下げた方
- 新たに土地の表示が必要な方