点の記
測量について

測量について

土地家屋調査士のする測量

測量と言えば、測量士がいます。測量法によると、測量士は公共測量や公共測量以外の測量をします。
こういうと、測量は全部、測量士の仕事じゃないかと言われそうです。確かにそんな感じもします。
しかし測量法をよく読むと、建物の測量や、狭い範囲の測量は測量法の対象外になっています。
だから土地家屋調査士が測量するのでしょう。

なんで土地家屋調査士が測量するのかというと、境界がどこかとかも含めて、土地の形状を調べるためです。トータルステーションを使うと、それができます(トータルステーションじゃなくてもできますが、とりあえずトータルステーションが一般的です)。

トータルステーションでできることは、ある1点から、ある1点までの距離と角度を測ることです。道路に鋲が入っているのを見たことあると思います。それがある1点になります。

あの鋲には十字に印があるので、測量機をその十字の真上に設置します。これを機械点と言います。これで測量機の位置が鋲の真上に定まります。そこから別の点を目標に測量機を合わせます。これを後視点と言います。

 

⊕  ――――→  ⊕

機械点      後視点

 

こんな感じです。この角度を0度として、これから測る各点の、距離と角度を測っていきます。そうすると、機械点を起点として、平面上に各点を配置することができます。
測量の理屈は以上のとおりです。意外とシンプルです。

誤差がありそうだけど…

誤差には、そもそも間違った方法をしてしまい、正しく測れていないために生じる【過失誤差】、目盛りを読む時の測定者の癖や機械の歪みによって生じる【系統誤差】、こういったものを排除しても、どうしても発生する【偶然誤差】の3種類があります。最後の【偶然誤差】はどうしても発生するものなので、いかに【過失誤差】、【系統誤差】を無くすかが大切になります。

また、偶然誤差はどうやっても出てくるものなので、真の値というものは測定できません。すべての測定値は誤差を含みます。精度を確かめる方法は、同じ場所を何度か測って、その最確値(平均値)と測定値を比較して一定の範囲に収まっているかどうかで判断します。許容範囲に無い時は、測定をやり直すことになります。

昔は、距離や角度を測るのは、分度器や巻尺を使って手でやっていたので、過失誤差、系統誤差が入り込む余地が多く、精度管理が大変だったろうと思います。現在は、トータルステーションを使って一瞬で測ることができます。ボタンの押し方やプリズムの構え方で多少違いはあるのでしょうが、間違った使い方(過失誤差)がなければ、分度器や巻尺ほど系統誤差が出ることはないでしょう。また自動視準といって、観測者が自らプリズムの中心を合わさなくても、コンピューターが光の反射を利用して、プリズム中心を計算で見つけ出す機能があるものもあります。人間の癖のように一方向へ偏る傾向は低減すると思います。

トータルステーションを使って距離と角度が測れますが、それだけでしょうか?

気温とか気圧とかも測れます。ただ、そういう機能も確かにありますが、それは別の測定器でも測れますから、やはり大切なのは、距離と角度を測ることです。
この距離と角度が測れると、地形を平面図で表現できるわけですが、真北に向けて、基準の0度をセットしたならば、方位も表すことができるでしょう。また機械点と後視点を、世界測地系の座標値で計算すると、世界測地系で地形を表すことができます。
ただ世界測地系で計算する場合は、既知点からトラバース測量をして、現場近くに、基準点を設ける必要があったり、またはGNSS測量機を使ってスタティック法で測量しなければなりません。

私は、土地家屋調査士の必要とする測量は、登記して公示することが目的だと思っていますので、その目的が達成されるなら、世界測地系でなくても良いのかなあと思ったりします。費用もかかりますし。その時の必要性に応じて、選択すべきではないかと考えます。測量士が行う公共測量との違いの一つかも知れません。

必要な作業をして、費用を安く抑えるためにも、登記に関する土地の測量は、土地の専門家である土地家屋調査士に相談することをおすすめします。