行政書士ってなに?
行政書士とは今から70年前の1951年(昭和26年)に行政書士法ができ。行政書士制度ができたことが始まりです。とはいえ、その前がありまして、1872(明治5)年に太政官「司法職務定制」によって代書人制度ができています。読んで字のごとく、代わりに書く人で、行政書士法の第1条には「行政に関する手続きの円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に質することを目的とする」とあります。
要するに、みなさまの利便のために行政手続きをお手伝いします、ということです。
そういうことなら、官公署の窓口が真にそれで、聞きに行くと各種申請について丁寧に教えてくれます。ただ、聞くにしても、多少は法律知識があったほうが理解しやすいでしょうし、全くわからないまま行くと、理解するまに担当者に何度も質問をして時間がかかることになり、行政サービスの円滑な提供に影響を及ぼすでしょう。
そこで、ひとりでいきなり官公署へ行く前に、ワンクッションおいて課題整理を手伝う人たちが行政書士と言えると思います。事前に専門書を読むという方法もありますが、聞きたいことの周辺知識や、まとまった話は人に聞いた方が早いでしょう。こうした相談業務は行政書士の重要な業務ですが、相談に乗るだけじゃなくて、相談内容の手続きも引き受けることができるのが行政書士です。
こうしたことを縮めて端から、手続きを代行するのが行政書士だ、という言い方もあります。さらにこの方向を進めて、うまく書類を作ってなんとかしてくれるのが行政書士だ、とまでなると、期待されるのはうれしいですが、さすがに、これはちょっと実態から飛躍するだろうと思います。
とりあえず行政書士は、困っている方がお客様、というのがあったりするので、できる限り入口を広げるために、初回相談無料にしている事務所もあります(わたしの事務所も基本的に初回相談は無料です)。そういう意味で言えば、まず相談されることが、行政書士の第一の業務だと私は思っています。
どんなことができるのか
で、どんな書類の作成ができるのか、ということですが、行政書士法によると、
- 官公署に提出する書類作成その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)
ということになります。こんな言い方したら、これもう、ほとんどすべての書類のような気がします。ただ弱点というか制限はありまして、他の法律で制限された業務はできません。例えば、弁護士や司法書士の仕事、また建築士の仕事もできません。当たり前と言えば当たり前のことなのですけど…。ただ、このことを、ひっくり返して言うと、他の法律で規制されている業務以外の業務はOKということになります。つまり、この規制はネガティブリストみたいなものなので、業務範囲がめちゃ広いのです。
ですから、そもそも悩みをどこに相談していいのかわからない、という悩みも含めて、行政書士に相談してください!と、思うわけです。
専門性とはなにか?
マーケティング本とかで「あなたが№1になれる得意分野は何か?」などとよく書かれている専門性です。これについて、つたないですが若干、私の考えを述べておきます。
そもそも専門性を持つというのは、同じ種類の悩みを持つ人が多いために課題が集約されたということだろうと思います。同じ種類の問題を集めれば、ノウハウが蓄積され、専門性が増して、パターン化による効率性や新しい解決方法が見つかるんだろうと思います。
例えば、厳しい自然環境でより快適な住居を作るにはどうしたらいいのか、とか作物をより実らすためにはどうしたらいいか、とかこういった問題に対して、人類はごく自然な流れで専門性を発揮していったと思います。
行政書士ですと、建設業に特化するとか、一般貨物自動車運送事業だけをするとか、外国人の入国手続きを専門にやるとかあります。ただ、これらの手続きは一人のお客様にとっては一生で1回くらいだったりするので、かなりマニアックだと思います。だから私はそこまで専門分野は特化していません。もちろん営業の入口として、数多く行った申請の知識など専門性はあった方が、お話はし易いと思います。専門分野に特化した切れ味鋭いスペシャリストってかっこいいですが、私は話題豊富な行政手続きのゼネラリストっていうのも良いかなと思っています。