公図を見たことがあるでしょうか?公図というのは、おおざっぱにいうと、地番を示す地図です。その公図の中に、土地と土地の間に細長い帯のような土地があることがあります。そういう箇所は地番が、ぱっと見わかりません。その土地がつながっているところを、たどっていくと、小さく「水」などと書かれています。「道」っていうのもあります。日本全国同じだと思います。
もともとはカラーだったぞ!
この「水」とか「道」は、明治時代の地租改正事業で作成された古地図を見れば、よくわかります。なぜなら、この古地図はカラーで書かれているからです。「水」は水色に、「道」は赤色に着色されているので、他の土地と簡単に区別がつきます。「水」「道」は全国的にそういうルールで着色されています。
もともと日本の土地は農地がほとんど
「水」というのは要するに用水路です。昔の土地はほとんど田、畑なので、その耕作に欠かせない用水路が張り巡らされているのです。そして用水路があれば、その脇であるとか、田から田に行くための「道」もあるわけです。それが「水」「道」なのです。だから大抵の公図を見れば、どこかに「水」「道」があるわけです。現在も使用しいているのもあれば、現在は跡形も無いようなものもあります。
「水」「道」は大切
稲作をするのに欠かせない「水」「道」ですから、その管理は、その用水路を利用する地域住民にとってどれほど重要だったかは想像に難くありません。特に「水」は稲作の生命線です。誰かひとりだけのものにはできません。「水」は、国を管理者とし、地域住民が大切に維持・管理してきたのです。
「水」から想像する昔のこと
今はコンクリートの直線でしっかりとした水路になっていますが、もともとの水路は土の溝です。ですから、「水」の縁はでこぼこしています。「水」の幅という場合に、どの部分を指すのか少し説明します。
水路の機能を維持するため、水路を定期的に底さらいしますが、その際、底さらいした土を置く、泥揚場が必要になります。その泥揚場は、水路を維持するために不可欠なものですから、水路の一部として考えます。また、水路が壊れた時は、修理しなくてはなりませんが、修理するための場所も水路の側に必要でしょう。それも水路の一部の土地です。そういったことを勘案して、水路幅は90cmとか1mとか取り決めてあるのが普通です。
現在ではコンクリートの水路に変わっていることもよくあります。しかし現況の構造物の切れ目が水路の端になるとは限りません。水路は水路として90cm等の取り決められた幅で、将来も、そこにあるものとして扱うからです。
また、長い年月の変遷で、いつしか水路が無くなっているものもあります。現況には水路は見当たらないのに、公図では、「水」があるケースです。そういった場合は水路を用途廃止の手続きをします。
余談ですが、私は、「この地域の水路幅は90cmですから、水路と土地の境界はここになります」などと説明する時、(昔この土地で稲作を営み、水路の管理をした住民がいたんだなあ)としみじみします。
このように不動産は見た目ではわからないことが多々あります。土地の調査は、やはり土地家屋調査士に相談することをおすすめします。